前編(過去のMTGリミテッドの価値観)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807140134272849/
後編(現代のMTGリミテッドの価値観)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807140228161925/
おまけ(構築編)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807222020449391/
では過去の価値観を踏まえ、前編で行った「価値のごまかし」と「価値観の変遷」について語っていきましょう
より突っ込んだ内容になるので、本当に初級者の方には難しいかもしれませんが
近代MTGリミテッドの特徴は、過去に比べ
<システムクリーチャーの喪失><除去の高コスト化><クリーチャーの質の向上>
の3点に尽きます。と思う、などといった誤魔化しすら使う必要のない、これは明らかな違いです。
ここでは前者2つを中心にピックアップします
<システムクリーチャーの喪失>
いわゆる「場にいるだけで得を引き出すクリーチャー」を「システムクリーチャー」、とよくいわれます。
代表的なのは《ギデオンの法の番人》でしょうか。もし知らない方がいたら性能を調べてみてください
こういったカードが昔はコモンでした。コモンでした
こういった「タッパー」(継続的に相手のクリーチャーをタップすることで戦闘を阻害する生物の総称)は近代MTGではもはや珍しいカードですが、昔のMTGではあたりまえのごとくコモンに存在し、猛威を振るっていました
※正確には攻撃時に相手のクリーチャーをタップするクリーチャーは今でもいますが、相手のターン時にタップする生物はほぼいません。つまり、守備に使える<タッパー>は近代リミテMTGではほぼ絶滅したのです
ほかにも「ティム」や「レンジストライク」など、場にいるだけで戦闘が有利になる生物は過去には本当にたくさんいました。現代では攻撃時に有利になるシステムクリーチャーが散見するだけです
こういった「守備的なシステムクリーチャー」が多いと何が起こるかというと、「オーラとバットリの評価が下がる」のです
もし相手が《ギデオンの法の番人》をコントロールしていて、あなたが《灰色熊》しかコントロールしていない場合、手札の《巨大化》や《樫変化》は有効なカードでしょうか?答は当然NOです
これらのカードがいなくなった結果、「オーラとバットリは強化された」わけです。いや「使う価値がうまれた」とまでいってもいいかもしれません
<除去の高コスト化>
一般的に、一部の例外を除き除去は昔の価値観に比べ高コスト化しています
基本セット2019にわかりやすい例が存在します
《光明の縛め》です。これは《平和な心》とまったく同じ効果ながら、単純に1マナ重くなっただけのカードです
一部の火力(クリーチャーに特定点数のダメージを与えるカード)やバウンス(手札に戻すカード)を除き、この傾向は近年MTGの特徴の一つです
※火力やバウンスが許されて昔のコストのままなのは、デメリットを評価されてのことでしょう
これも当然「オーラとバットリは強化された」理由の一つです。特に説明しなくとも強化されたこと自体は実感できると思います。
しかし、この影響をいまいち甘くみている人は初級者に限らず、存外多いです。なのでこれについてはもう一歩踏み込んで解説しましょう
<テンポという概念>
初級者脱出のための壁の一つへようこそ!
テンポというのは、端的にいうと「より低いコストでより高い効果を得る」ことです
例えば《ショック》(1マナ)によって《灰色熊》(2マナ)を破壊した時、 1マナ得していることがわかります。
逆に、《稲妻の一撃》(2マナ)もしくは《殺害》(3マナ)によって《灰色熊》(2マナ)を破壊した時、あなたはテンポを得ないか、もしくは損失しています
また、バットリでも似たような概念が通用します
《灰色熊》に《巨大化》(1マナ)を使うことで《ケンタウルスの狩猟者》(3マナ)を突破した場合、2マナの得を生み出しているといえます(もちろん、攻撃はプレイヤーに通っていないので除去と比較したときライフは損していますが・・・)
これを積み重ねることで、場の状況をより軽いコストによって優位にすることを目指すことがテンポです
近代MTGではこれが非常に重要となっています
さて、ここで大事なのは「除去が重くなっていく一方」「バットリのコストはたいして高コスト化していない」ことです
これは上記の例での「テンポの大小」がバットリの場合はより大きく、逆に除去の場合は小さく(むしろマイナスに近く)なるのです
もう一歩つっこんで考えましょう
そもそも「除去」もしくは「バットリ」を使う必要がある状況はなんでしょうか?
そう、基本的には相手の生物に比べ自分の生物が小さい場合です
あなたが《ケンタウルスの狩猟者》をコントロールして相手が《灰色熊》のみの場合、あなたは「除去」もしくは「バットリ」を使う必要がありません
ここに<前編>で用いた誤魔化しが存在します
お互いに《灰色熊》をコントロールしているにもかかわらず、なぜ相手は《ショック》をうつことができるのでしょうか?お互いに《灰色熊》を出したあとの先手3ターン目だとするならば、相手は《ショック》をうつことができません
それならば例で語ったようなリスクは事実上(そのターンのうちは)存在しないのです。さらにいえば《樫変化》の例の場合、《ショック》を使えないターンに通ってしまえばその《ショック》は無意味なカードと化してしまいます
あなたが先にクリーチャーをだしているならば、相手はより多くのコストを払わない限りあなたよりでかいクリーチャーをだすことは困難です。
そしてより多くのコストを払う、ということは「《ショック》すら打てない」状況は間違いなく発生します(そしてそういった状況を生み出す、もしくはなくすために必要な概念が「テンポ」です)
結果、前編の例でいったようなリスクが存在しないタイミングは実のところ多いのです。・・・除去の高コスト化がすすんできた現代ならなおさら
<まとめ>
現代のリミテッドはクリーチャーとバットリ、そして高コストの除去で回っているといっても過言ではありません
そして多くの場合、テンポを引き出すことができるのはバットリ、もしくは継続的に影響をあたえることができるオーラによる強化です
一昔前のMTGでは除去と、それに類似したシステムクリーチャーが強力だったためにバットリやオーラが無効化されたり、逆にテンポを取られてしまうシチュエーションが多く。まったくの無価値とはいえないまでも一歩弱いカードであることは疑いがありませんでした
しかし近年MTGでは一歩弱い理由がとりのぞかれ、リスクがあるながらもそれに十分にみあうリターンが見込めるようになったのです
余裕があったら後日「おまけ」として構築編を書きます。
おまけ(構築編)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807222020449391/
http://matsukasa.diarynote.jp/201807140134272849/
後編(現代のMTGリミテッドの価値観)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807140228161925/
おまけ(構築編)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807222020449391/
では過去の価値観を踏まえ、前編で行った「価値のごまかし」と「価値観の変遷」について語っていきましょう
より突っ込んだ内容になるので、本当に初級者の方には難しいかもしれませんが
近代MTGリミテッドの特徴は、過去に比べ
<システムクリーチャーの喪失><除去の高コスト化><クリーチャーの質の向上>
の3点に尽きます。と思う、などといった誤魔化しすら使う必要のない、これは明らかな違いです。
ここでは前者2つを中心にピックアップします
<システムクリーチャーの喪失>
いわゆる「場にいるだけで得を引き出すクリーチャー」を「システムクリーチャー」、とよくいわれます。
代表的なのは《ギデオンの法の番人》でしょうか。もし知らない方がいたら性能を調べてみてください
こういったカードが昔はコモンでした。コモンでした
こういった「タッパー」(継続的に相手のクリーチャーをタップすることで戦闘を阻害する生物の総称)は近代MTGではもはや珍しいカードですが、昔のMTGではあたりまえのごとくコモンに存在し、猛威を振るっていました
※正確には攻撃時に相手のクリーチャーをタップするクリーチャーは今でもいますが、相手のターン時にタップする生物はほぼいません。つまり、守備に使える<タッパー>は近代リミテMTGではほぼ絶滅したのです
ほかにも「ティム」や「レンジストライク」など、場にいるだけで戦闘が有利になる生物は過去には本当にたくさんいました。現代では攻撃時に有利になるシステムクリーチャーが散見するだけです
こういった「守備的なシステムクリーチャー」が多いと何が起こるかというと、「オーラとバットリの評価が下がる」のです
もし相手が《ギデオンの法の番人》をコントロールしていて、あなたが《灰色熊》しかコントロールしていない場合、手札の《巨大化》や《樫変化》は有効なカードでしょうか?答は当然NOです
これらのカードがいなくなった結果、「オーラとバットリは強化された」わけです。いや「使う価値がうまれた」とまでいってもいいかもしれません
<除去の高コスト化>
一般的に、一部の例外を除き除去は昔の価値観に比べ高コスト化しています
基本セット2019にわかりやすい例が存在します
《光明の縛め》です。これは《平和な心》とまったく同じ効果ながら、単純に1マナ重くなっただけのカードです
一部の火力(クリーチャーに特定点数のダメージを与えるカード)やバウンス(手札に戻すカード)を除き、この傾向は近年MTGの特徴の一つです
※火力やバウンスが許されて昔のコストのままなのは、デメリットを評価されてのことでしょう
これも当然「オーラとバットリは強化された」理由の一つです。特に説明しなくとも強化されたこと自体は実感できると思います。
しかし、この影響をいまいち甘くみている人は初級者に限らず、存外多いです。なのでこれについてはもう一歩踏み込んで解説しましょう
<テンポという概念>
初級者脱出のための壁の一つへようこそ!
テンポというのは、端的にいうと「より低いコストでより高い効果を得る」ことです
例えば《ショック》(1マナ)によって《灰色熊》(2マナ)を破壊した時、 1マナ得していることがわかります。
逆に、《稲妻の一撃》(2マナ)もしくは《殺害》(3マナ)によって《灰色熊》(2マナ)を破壊した時、あなたはテンポを得ないか、もしくは損失しています
また、バットリでも似たような概念が通用します
《灰色熊》に《巨大化》(1マナ)を使うことで《ケンタウルスの狩猟者》(3マナ)を突破した場合、2マナの得を生み出しているといえます(もちろん、攻撃はプレイヤーに通っていないので除去と比較したときライフは損していますが・・・)
これを積み重ねることで、場の状況をより軽いコストによって優位にすることを目指すことがテンポです
近代MTGではこれが非常に重要となっています
さて、ここで大事なのは「除去が重くなっていく一方」「バットリのコストはたいして高コスト化していない」ことです
これは上記の例での「テンポの大小」がバットリの場合はより大きく、逆に除去の場合は小さく(むしろマイナスに近く)なるのです
もう一歩つっこんで考えましょう
そもそも「除去」もしくは「バットリ」を使う必要がある状況はなんでしょうか?
そう、基本的には相手の生物に比べ自分の生物が小さい場合です
あなたが《ケンタウルスの狩猟者》をコントロールして相手が《灰色熊》のみの場合、あなたは「除去」もしくは「バットリ」を使う必要がありません
ここに<前編>で用いた誤魔化しが存在します
お互いに《灰色熊》をコントロールしているにもかかわらず、なぜ相手は《ショック》をうつことができるのでしょうか?お互いに《灰色熊》を出したあとの先手3ターン目だとするならば、相手は《ショック》をうつことができません
それならば例で語ったようなリスクは事実上(そのターンのうちは)存在しないのです。さらにいえば《樫変化》の例の場合、《ショック》を使えないターンに通ってしまえばその《ショック》は無意味なカードと化してしまいます
あなたが先にクリーチャーをだしているならば、相手はより多くのコストを払わない限りあなたよりでかいクリーチャーをだすことは困難です。
そしてより多くのコストを払う、ということは「《ショック》すら打てない」状況は間違いなく発生します(そしてそういった状況を生み出す、もしくはなくすために必要な概念が「テンポ」です)
結果、前編の例でいったようなリスクが存在しないタイミングは実のところ多いのです。・・・除去の高コスト化がすすんできた現代ならなおさら
<まとめ>
現代のリミテッドはクリーチャーとバットリ、そして高コストの除去で回っているといっても過言ではありません
そして多くの場合、テンポを引き出すことができるのはバットリ、もしくは継続的に影響をあたえることができるオーラによる強化です
一昔前のMTGでは除去と、それに類似したシステムクリーチャーが強力だったためにバットリやオーラが無効化されたり、逆にテンポを取られてしまうシチュエーションが多く。まったくの無価値とはいえないまでも一歩弱いカードであることは疑いがありませんでした
しかし近年MTGでは一歩弱い理由がとりのぞかれ、リスクがあるながらもそれに十分にみあうリターンが見込めるようになったのです
余裕があったら後日「おまけ」として構築編を書きます。
おまけ(構築編)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807222020449391/
コメント
ティムもクリーチャー飛ばせるのはほとんどいないし