オーラと除去とバットリと(初級者向け)<おまけ>
2018年7月22日 Magic: The Gathering前編(過去のMTGリミテッドの価値観)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807140134272849/
後編(現代のMTGリミテッドの価値観)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807140228161925/
おまけ(構築編)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807222020449391/
さて、前回の2つでバットリとオーラの弱みと、その弱みが現代ではつきにくいよ、という話をしました
じゃあ構築はどうかというと
弱みをつかれまくるので残念ながらバットリとオーラは弱いです
では理由を分析していきます
1.構築とは例外の塊である
はい。実も蓋もないですが、最大の理由はこれです。
「除去は重く、弱くなっていく傾向にある」と語りましたが、あくまで傾向であり、たいていの場合弱くない除去、ないしは歴代でも強い除去、というものはいくらかあります
例えば現行のスタンダードでいうなら<致命的な一押し>です。スタンダードでは様々な理由からそのスペックを完全には生かし切れていないですが、1マナの除去としては破格の性能です。<ショック>と比較してもらえればわかるでしょう
それ以外にも<喪心>や<削剥>、最近では見ないですが<蓄霊稲妻>など一部の例外のうちではありますが現代でも使い勝手のいい軽量除去というのは残っています
構築ではそういった例外のカードのみが使われます。一部重い除去が採用されることがありますが、例外なくそれは汎用性が高いか、軽量除去では触れない対象を除去できるから、もしくは除去に+αがつくから、にすぎません。基本的には一部の軽い除去のみが採用されます
結果、後編で語ったような「除去が重いからバットリやオーラも活躍しやすい」という土台そのものがあやしいものとなります
また、同じく後編で語った「場にいるだけで得を生み出すシステムクリーチャー」は同様にリミテッドと違い構築ではのさばっています。現スタンで代表的なのは<栄光をもたらすもの><スカラベの神><歩行バリスタ>などです。それぞれ役割こそ違いますが、バットリで対処するのは困難であり、直接的な除去が要求される状況が多く、オーラやバットリといったカードの必要性が薄くなっています
(※代表例としてあげたシステムクリーチャーはむしろバットリやオーラが有効な場合があるので例としては不適切ですが、バットリはクリーチャーが必要なカードのため、採用した場合デッキないの除去をいれる余裕がなくなるということを理解してもらえればより正確です)
2.リミテッドと違い、対戦デッキの種類の差が大きい
リミテッドでは大部分のカードプールで、そもそも採用できる除去の量が限られます。(質も限られますが)結果、どんなデッキであろうと生物とスペルといった基本的な構造から逃れられません
しかし構築ではプールの制限がより薄いため「ほぼ生物を採用しない除去だけのデッキ」が存在します。コントロール、というやつですね(ミッドレンジもそういうデッキの場合がありますけど)
結果、後編で語ったような<灰色熊>で<灰色熊>がブロックされて、といった同一のスペックのクリーチャーでの戦闘、といったシチュエーションは対戦相手によっては全くおこらない可能性すらあります。そうなってはバットリやオーラはリスクのみが目立つことになるでしょう
この2つが大きく構築でオーラやバットリが使われない理由になります。リミテッドとは状況がかけ離れていることが理由です
しかし、バットリやオーラが全く採用されていないかというとそれもまたことなります
<例外の例外>
それでは、構築でどのようにバットリやオーラが使われているかを。あくまで例外としての場合が多いですが
1.除去自体を効率よく躱せるオーラやバットリは採用されやすい
現行のスタンダードでは<顕在的防御>にあたります。歴代のカードでも破壊不能や呪禁をつける軽量のバットリは採用実績が高い傾向にあります
これは、バットリ自体のメリット(軽量のバットリで重い生物を突破できる)がより拡張され、生物だけでなく除去を躱して突破できるために、仮に対戦相手のデッキに除去が豊富だろうと相手にリスクを押し付けることができるからです
また、オーラがついたクリーチャーをこういったバットリでサポートする、といった動きもまたしばしばみられます
2.バットリやオーラをプレイするクリーチャー自体が除去がされにくい
現在のスタンダードではあまり見られませんが、<蔦草牝馬>や<殺戮の暴君>などのそもそもが破壊不能や呪禁をもっているクリーチャー群に対しては、バットリやオーラがもつリスクが最低限にまで低くなるといえるでしょう
代表的なのはモダンの「緑白呪禁オーラ」で、気になる方は一度見てみるとよいと思います。
3.バットリやオーラが通ってしまえば勝てる、といった戦略
リスクはありながらも、圧倒的なリターンが存在するためにおおくバットリなどを使う場合です。大抵の場合、上述の1や2の例のように除去を効率よくかわすカードとセットで使われます
現行スタンダードでは禁止改定などで見なくなりましたが、<静電気式打撃体>などがその代表例ですので、気になる方は(ry
4.メタゲームの結果
あまり見られませんが、このゲームをプレイするプレイヤー全般が除去をほとんど使っていない、といった状況になった場合どうなるでしょうか
バットリやオーラのリスクがなくなり、使い放題になります
とはいえ、そうなるといかにそれに特化したデッキが勝てるか、というゲームになりがちなのでそういった環境になると3.であげたようなデッキが目立つようになるのですけどね
いずれも複数の状況が噛み合ったうえでの採用となりますが、決して選択肢としてありえないわけではないことがわかると思います
以上!
弱いカードはとにかく弱い!
というような意見はある種思考停止であり、弱い理由というものが存在し、その理由がなくなった結果見直される、といったことはこのゲームには数多くあります(MTGに限らずそういうことはたくさんあるとは思いますが)
これを読んでくれた初級者のかたは是非自分で分析、評価できるようになってもらえれば幸いです
http://matsukasa.diarynote.jp/201807140134272849/
後編(現代のMTGリミテッドの価値観)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807140228161925/
おまけ(構築編)
http://matsukasa.diarynote.jp/201807222020449391/
さて、前回の2つでバットリとオーラの弱みと、その弱みが現代ではつきにくいよ、という話をしました
じゃあ構築はどうかというと
弱みをつかれまくるので残念ながらバットリとオーラは弱いです
では理由を分析していきます
1.構築とは例外の塊である
はい。実も蓋もないですが、最大の理由はこれです。
「除去は重く、弱くなっていく傾向にある」と語りましたが、あくまで傾向であり、たいていの場合弱くない除去、ないしは歴代でも強い除去、というものはいくらかあります
例えば現行のスタンダードでいうなら<致命的な一押し>です。スタンダードでは様々な理由からそのスペックを完全には生かし切れていないですが、1マナの除去としては破格の性能です。<ショック>と比較してもらえればわかるでしょう
それ以外にも<喪心>や<削剥>、最近では見ないですが<蓄霊稲妻>など一部の例外のうちではありますが現代でも使い勝手のいい軽量除去というのは残っています
構築ではそういった例外のカードのみが使われます。一部重い除去が採用されることがありますが、例外なくそれは汎用性が高いか、軽量除去では触れない対象を除去できるから、もしくは除去に+αがつくから、にすぎません。基本的には一部の軽い除去のみが採用されます
結果、後編で語ったような「除去が重いからバットリやオーラも活躍しやすい」という土台そのものがあやしいものとなります
また、同じく後編で語った「場にいるだけで得を生み出すシステムクリーチャー」は同様にリミテッドと違い構築ではのさばっています。現スタンで代表的なのは<栄光をもたらすもの><スカラベの神><歩行バリスタ>などです。それぞれ役割こそ違いますが、バットリで対処するのは困難であり、直接的な除去が要求される状況が多く、オーラやバットリといったカードの必要性が薄くなっています
(※代表例としてあげたシステムクリーチャーはむしろバットリやオーラが有効な場合があるので例としては不適切ですが、バットリはクリーチャーが必要なカードのため、採用した場合デッキないの除去をいれる余裕がなくなるということを理解してもらえればより正確です)
2.リミテッドと違い、対戦デッキの種類の差が大きい
リミテッドでは大部分のカードプールで、そもそも採用できる除去の量が限られます。(質も限られますが)結果、どんなデッキであろうと生物とスペルといった基本的な構造から逃れられません
しかし構築ではプールの制限がより薄いため「ほぼ生物を採用しない除去だけのデッキ」が存在します。コントロール、というやつですね(ミッドレンジもそういうデッキの場合がありますけど)
結果、後編で語ったような<灰色熊>で<灰色熊>がブロックされて、といった同一のスペックのクリーチャーでの戦闘、といったシチュエーションは対戦相手によっては全くおこらない可能性すらあります。そうなってはバットリやオーラはリスクのみが目立つことになるでしょう
この2つが大きく構築でオーラやバットリが使われない理由になります。リミテッドとは状況がかけ離れていることが理由です
しかし、バットリやオーラが全く採用されていないかというとそれもまたことなります
<例外の例外>
それでは、構築でどのようにバットリやオーラが使われているかを。あくまで例外としての場合が多いですが
1.除去自体を効率よく躱せるオーラやバットリは採用されやすい
現行のスタンダードでは<顕在的防御>にあたります。歴代のカードでも破壊不能や呪禁をつける軽量のバットリは採用実績が高い傾向にあります
これは、バットリ自体のメリット(軽量のバットリで重い生物を突破できる)がより拡張され、生物だけでなく除去を躱して突破できるために、仮に対戦相手のデッキに除去が豊富だろうと相手にリスクを押し付けることができるからです
また、オーラがついたクリーチャーをこういったバットリでサポートする、といった動きもまたしばしばみられます
2.バットリやオーラをプレイするクリーチャー自体が除去がされにくい
現在のスタンダードではあまり見られませんが、<蔦草牝馬>や<殺戮の暴君>などのそもそもが破壊不能や呪禁をもっているクリーチャー群に対しては、バットリやオーラがもつリスクが最低限にまで低くなるといえるでしょう
代表的なのはモダンの「緑白呪禁オーラ」で、気になる方は一度見てみるとよいと思います。
3.バットリやオーラが通ってしまえば勝てる、といった戦略
リスクはありながらも、圧倒的なリターンが存在するためにおおくバットリなどを使う場合です。大抵の場合、上述の1や2の例のように除去を効率よくかわすカードとセットで使われます
現行スタンダードでは禁止改定などで見なくなりましたが、<静電気式打撃体>などがその代表例ですので、気になる方は(ry
4.メタゲームの結果
あまり見られませんが、このゲームをプレイするプレイヤー全般が除去をほとんど使っていない、といった状況になった場合どうなるでしょうか
バットリやオーラのリスクがなくなり、使い放題になります
とはいえ、そうなるといかにそれに特化したデッキが勝てるか、というゲームになりがちなのでそういった環境になると3.であげたようなデッキが目立つようになるのですけどね
いずれも複数の状況が噛み合ったうえでの採用となりますが、決して選択肢としてありえないわけではないことがわかると思います
以上!
弱いカードはとにかく弱い!
というような意見はある種思考停止であり、弱い理由というものが存在し、その理由がなくなった結果見直される、といったことはこのゲームには数多くあります(MTGに限らずそういうことはたくさんあるとは思いますが)
これを読んでくれた初級者のかたは是非自分で分析、評価できるようになってもらえれば幸いです
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